念願の小包 その1【ロレーヌ地方の田舎暮らし】


2020年8月7日 【ロレーヌ地方の田舎より】

ふと窓の外を見ると、黄色い車がやって来るのが見えました。フランスで黄色といえば郵便局。

「うちかも知れない!」と思い、急いでマスクと手袋を用意した瞬間、呼び鈴が鳴りました。「日本からの小包に違いない』、留守と思われては大変。

2階の窓を開けて、「今行きます」と声をかけると、配達員の女性が懐かしい「ゆうパック」の箱を玄関先におろしているのが見えました。

日本からの荷物を受け取る時はいつも心が踊りまが、4ヶ月待ちわびた今回は尚更。感無量です。

フランスで日本からの小包を受け取るときは、配達の人のスマホの画面に指でサインをします。ゴム手袋をつけた指ではサインができず、持参のボールペンの先でもダメでした。

「これで試してみて」と差し出されたフリクション・ペンの消しゴム部分でしてみたら成功。さすが配達員さん。

別れ際には笑顔で「Bonne journée !ボンヌ・ジュルネ(いい日を)」と挨拶するのがフランス流。

外国暮らしで夢見る日本の本屋さん

 一時帰国の私の大きな楽しみの一つは書店通い。
毎日どこかの本屋さんに3、4時間は入り浸っています。外国生活の長い身にとっては至福の時間。 新刊が普通の値段で、しかもその場ですぐ買える喜び。その上お店は遅くまで開いている、なんて素晴らしいのだろう。帰国の度に嬉しくて仕方がない。ずっと欲しかった本を本屋さんで見つけた時の興奮は言葉にできません。

コロナ禍の国際郵便事情

 7月に入って、日仏間にエールフランスなど欧州系の飛行機が週5便以上飛ぶようになりました。これはチャンスと思い、日本の家族にフランスまで国際郵便を送ることができるか郵便局に問い合わせてもらいました。

時間は以前よりはかかるけど普通に送れるとのこと。3箱送ってもらい、今回届いたのは、その内の一つ。

箱の中には、去年の12月から今年の3月初めまでの一時帰国中に選んだ本が詰まっています。一度手放したものの、もう一度読み返したくなった本もあります。それぞれの本を手にした時の気持ち、お店の様子、日本の空気感が、1冊1冊の表紙を見ると鮮明に思い出されます。本と一緒に詰まっていた4ヶ月前の自分の思いが眩しかったです。

小包は3月中旬にフランスに戻った後、すぐに日本の家族に送ってもらうつもりでした。

しかしフランス到着後、事態は急変。到着した夜には大統領宣言があり、2日後には唐突に外出禁止令が発令。日本とフランスを結ぶ飛行機はほとんどなくなり、人も物の移動も自由にできない事態になりました。

日本から届いたばかりの本を眺めていると、希望に満ちた当時の自分の気持ちが蘇ってきます。太陽の光に溢れた日本の冬。冬でも緑や花のある温暖な日本。外国の暮らしが長くなるほどに、日本の良いところを発見し、日本人として生まれてきて本当に良かったという思いが年々強くなるように感じます。

外出禁止中は、人里離れた田園地帯には交通手段が全く無くなり、食料の買い物も行けない状況に陥ってしまいました。幸い数週間分の食料は前日に手に入りましたが、無事に生き延びることができるのか心許無い気持ちで過ごしました。最初の1週間は気分的にに大変でしたが、フランスの友人と日本の友人知人とインターネット上での交流と励ましの言葉に本当に救われました。

厳しい外出制限を経験して、どんな状況でも快活な心を持つことの大切さを痛感。不安とどう向き合うか、物の見方や生き方を以前より意識するようになりました。