
日本でも外国でも、初めての街に行くと本屋さんを覗きます。
初めて外国の本屋さんを訪れたのは、2度目の海外旅行先、イギリスのコッツウォルズ地方でのこと。こじんまりとした店内で目に飛び込んできたのはルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」。初めて外国語でコニュニケーションをして手に入れた本には、当時の思い出が詰まってます。装丁が美しく、今でも大切にしている宝物です。

5年後に憧れのイギリスに長期滞在することになり、最初の3ヶ月はケンブリッジ郊外のSawston(ソーストン村)でホームステイをしました。ケンブリッジは13世紀に創設された歴史ある大学のある街。ロンドンからは鉄道で50分。31のコレッジが点在する街の中心は、書店巡りの楽しい所です。
イギリスの本屋さんで印象深かったのは、音楽のかかっていない高尚な空気感。日本とは全く違ったデザインのペーパーバックや、美しい造りの手芸や伝統技術、庭園の大判のハードカバーがずらりと並ぶ棚。物静かで知的な雰囲気の職員は、質問に詳しく答えてくれます。日本にいる時から洋書好きだったので、私にとってイギリスの書店はまるで本の美術館のよう。西洋の本の世界にますます魅了されました。

イギリスの本屋さん
The Cambridge University Press Bookshop(ケンブリッジ・ユニバーシティ・プレス・ブックショップ)は、「ケンブリッジ大学出版」の本のみを扱う書店。ケンブリッジ大学に属し1534年に創設されました。
店舗はトリニティー・ストリートにある白い外観の建物で、周りはトリニティー・コレッジなど大学の施設や商店が集まる街の中心です。
●トリニティー・ストリートの地図 (日本語)
学生証を提示すると、年齢に関係なく2割引で購入できるのがイギリスらしい。
「Books have been sold continuously on this site from at least 1581,which makes it the oldest known bookshop site in the country.この場所は英国で一番古い書店のあった場所であり、少なくとも1581年から書店の営業が続けられている」 ショーウインドーには以上のように記されています。

イギリスの本屋さんで驚いたことは、閉店時間が5時半から6時と早いこと。毎回閉店間際になるとお店の人が一人一人に声をかけて回るのは、素敵な習慣だと思いました。


↑トリニティー・コレッジの様子。♬
オックスフォードは大学の中に街があります。一方ケンブリッジは街の中に大学があり、古くから住民と大学との間に隔たりがあったのだと、地元の人に聞きました。
私にとってケンブリッジは落ち着いた居心地の良い街でした。緑や芝生の美しい公園が多く、ケム川は季節ごとの風景が素晴らしい。「パンティング」というボート下りが気軽にでき、自転車で30分も走ると田園風景を見ることができる。田舎のような静けさや自然と文化が共存し、どちらにも親しむことができる。
街の中心の書店はどこも素晴らしく、何時間いても飽きない。そのうちの一軒の”waterstones ウォータ・ストーンズ”は3階建て。最上階にはセルフサービスのコーヒーショップがあり、購入前の本を自由に持ち込んでゆっくり選ぶことができます。
カウンターのガラスケースからは甘い匂いが漂い、サンドイッチやpastry(ペストリー:デンマーク風のパイ菓子)が食欲をそそります。
児童書売り場で子供達が思い思いに床に座って自由に本を見ている光景に、感銘を受けました。

◾︎ケンブリッジの書店情報◾︎
●The Cambridge University Press Bookshop
住所: 1-2 Trinity St, Cambridge CB2 1SZ
営業時間; 月曜日から土曜日 10時ー5時半
日曜日 11時〜5時
住所:20 Trinity St, Cambridge CB2 1TY
営業時間 月ー土 10時ー5時半
日曜日 11時ー5時
住所:22 Sidney St, Cambridge CB2 3HG
営業時間
Thursday 8th Oct 9.00 – 18.00
Friday 9th Oct 9.00 – 18.00
Saturday 10th Oct 9.00 – 18.00
Sunday 11th Oct 11.00 – 17.00
Monday 12th Oct 9.00 – 18.00
Tuesday 13th Oct 9.00 – 18.00
住所:16 St Edward’s Passage, Cambridge CB2 3PJ
営業時間 月ー土 9時ー5時
フランスの本屋さん
フランスの本屋さんはイギリスとは異なった雰囲気が魅力。
児童書を見ていると大抵声をかけられ、親切に色々と教えてくれます。
各売り場にあるカウンターはレジではなく、本についての情報を問い合わせることができます。

トゥールで一番人気のある書店は、”La boîte à Livresラ・ボワッタ・リーブル”。”本の箱”という意味です。
現在は地上3階地下2階まであり、2階にあるサロン・ド・テ(紅茶やハーブティーやケーキを出す喫茶店のような店)は日溜まり心地が良く、お店の人が温かくもてなしてくれます。

La boîte à Livresはどんな書店?

トゥールでは1940年にロワール川のほとりの建物が空襲により破壊されました。
復興中の1946年、パリの女性書店商が粗末な小屋に書店を開店。戦争中に臨時の兵舎として使われていた小屋には、書籍商たちが寝泊まりしながら働いていました。。ボワッタ・リーブルの始まりです。

その後、市場通りの小さな店舗に移り、1980年代に現在の場所 rue Nationale(ナショナル通り)に転居し、拡大していきました。
巨大チェーン書店「フナック」がトゥールに店を構えた後には、トゥールの他の個人書店と団結、協力しあって独立を守り抜きました。

特に評判の高い学校教育の書籍の売り場。

作家と交流できる催し物、展覧会、芸術家や作家による講習会、子供向けの教室を定期的に開催。
文化交流を通して人と人とが繋がっていく、地元の人たちに愛され活気溢れる本屋さんです。

10月の行事↓
Rencontres octobre 2020

La boîte à LIVRES
住所: 19 Rue Nationale, 37000 Tours
営業時間 月ー土曜日 10時ー7時

トゥールで買った料理の本たち♬
L’histoire de la rue nationale ナショナル通りの歴史
ナショナル通りは、15世紀に作られた商業地域。古い木骨造りの家々の立ち並ぶ歴史的地区と新市街の境目です。

ナショナル通りは戦時中に、川岸から400メートルまでの家々が破壊され、焼け跡には近代的な建物が建てられました。
2013年にはtram(トラム 市街電車)が開通。通りは歩行者専用になりました。
パリとスペインを結ぶ通りは一直線で、遠近法の図の見本のような景色を見ることができます。
4世紀に栄えたローマ帝国の古代都市「Caesarodunum」がトゥールの街の地下に埋まっています。
2006年から2007年にかけての調査では、1〜2世紀の巨大なローマ帝国の居住地区がナショナル通りの下に眠っていることが分かりました。トゥールは新旧が入り混じった歴史的に興味深い所です。
パリの日本の本屋さん
パリには個性溢れる素敵な本屋さんが多くありますが、私の一番のお気に入りは日本の「ジュンク」。
店内はそれほど広くないものの、フランスに滞在している日本人の好奇心を刺激するような品揃えに、行く度に心が揺さぶられます。
厳選された書籍が所狭しと並んでいる光景には毎回感動。あれもこれも欲しくなる・・・。
ほっとした気分になれる、私にとって心のふるさとのような場所です。
パリのジュンク堂: Librairie japonaise Junku.
住所: 8 Rue des Pyramides, 75001 Paris

どこにいても自然と書店へ足が向かいます。成田空港の本屋さんでは、出国前の日本最後の書店滞在を惜しむようにギリギリの時間まで書棚を眺めたものです。本屋さんのために6時間も前に空港に着いたとさえあります。どんな時でも本があれば希望がある。
本屋さんは街の中の宝の島。どんな気持ちの時にも、心が満たされる何かが見つかる。
新しく何かを始める時、何かを続けている時、後押ししてくれる本と出会い、希望が湧く。
自信を失くした時、今までのことは少しも無駄ではなかった、「自分は自分のままで大丈夫」と教えてくれる。
本屋さんのない世界は想像できない。
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